2024年2月26日
金属屋根が人気となっている近年ですが、金属屋根の中にも多くの製品が提供されています。
製品によってそれぞれ特徴がありますので、それらの特徴を踏まえて選んでいくことが重要です。
そこでここでは人気商品の中から「スーパーガルテクト」と「横暖ルーフ」のそれぞれのメリット、デメリットなどを踏まえて違いについて紹介していきたいと思います。
ではまずスーパーガルテクトについて紹介していきます。
スーパーガルテクトは山形県に本社がある「アイジー工業」の製品です。
アイジー工業は金属建材を手広く扱っている業界大手メーカーです。
2024年時点ですでに創立50年以上が経過している老舗でもあります。
扱っている建材の中でも「金属屋根材」「金属外壁材」の項目で日本トップシェアとなっています。
金属屋根としては長い間「ガルテクト」という主力商品がありました。
こちらは高い耐久性、長い耐用年数を誇るガルバリウム鋼板製の金属屋根となっています。
このガルテクトの性能をさらに高めた商品が「スーパーガルテクト」です。
こちらはガルバリウム鋼板をさらに高性能にした「エスジーエル鋼板」が使用されている製品で、耐久性などの機能がさらに上昇しています。
テレビコマーシャルなどでもこの「スーパーガルテクト」を主力としていこうという動きがはっきりと見て取れます。
金属屋根については葺き方が「横葺き」「縦葺き」という2つの種類がありますが、スーパーガルテクトは「横葺き」の金属屋根となっています。
横葺きはその名前通り、軒に対して平行な横向きに葺いていくものです。
また、スーパーガルテクトは屋根材の裏側に断熱材が一体化されている製品ですので、金属屋根の弱点である熱伝導率が高いために屋内が夏は暑くなり、冬は寒くなるということを防いでくれる効果があります。
その基本スペックは以下のようになっています。
・働き幅:265mm
・働き長さ:2,960mm
・厚さ:最大16mm
・重量:5.0kg/㎡
・穴あき 25年
・赤さび 20年
・塗膜変退色 20年
・耐用年数:25年~35年(目安)
・Sシェイドブラック
・Sシェイドブルー
・Sシェイドブラウン
・Sシェイドモスグリーン
・Sシェイドチャコール
・Sシェイドワインレッド
スーパーガルテクトは現在提供されている屋根材の中でも特に性能が高いとされている屋根材です。
そこでここではそんなスーパーガルテクトの特徴やメリットについて紹介していきます。
スーパーガルテクトは耐久性が高いということで人気となっている屋根材です。
これは作られている素材が「エスジーエル鋼板」であるということが関係しています。
ガルバリウム鋼板が素材となっていたガルテクトも高い耐久性を誇っていましたが、エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板の3倍以上の耐久性があるとされています。
このエスジーエル鋼板はこれからの日本で主流となっていく素材だとされていますが、エスジーエル鋼板は「日本製鉄グループ」だけが供給している素材ですので、他の製鉄会社、製鋼会社から素材を購入している屋根材にはエスジーエル鋼板は使用できないのです。
スーパーガルテクトはこのエスジーエル鋼板を素材としているということがもっとも大きい特徴であり、メリットだと言えるでしょう。
金属屋根は一般的に熱伝導率が高い素材ですので断熱性や遮熱性は高くありません。
それが金属屋根のデメリットとなることが多いのですが、スーパーガルテクトは裏面に断熱材が一体化している屋根材ですので、断熱性が高いという特徴があります。
裏面部分に最厚16mmという断熱材がついているということで金属屋根であるにも関わらず高い断熱性を持っているのです。
また、ここで使用されている断熱材にはイソヌレートフォームが使用されています。
イソヌレートフォームは高熱に強い断熱材であり、耐火性や不燃性が高いものとなっています。
屋根材に求められる機能に「雨水を建物内に侵入させない」ということがあります。
スーパーガルテクトは重要な場所、適切な場所に折り曲げ加工がされていることで止水性を高めています。
また、使用されているケラバ板金は排水性、止水性に優れた板金ということも特徴と言えます。
スーパーガルテクトは国産製品であるということから高い安全性が保証されています。
こういった屋根材については国産のものではメーカーごと、輸入製品のものでは輸入元ごとによって設定されている保証が違っています。
このスーパーガルテクトはアイジー工業によって手厚い保証がつけられています。
また、スーパーガルテクトは国産製品ですので安定して供給されるという強みもあります。
海外の屋根材を輸入して利用する場合はあちらの国の都合によって製造が中止されたり、為替レートの変動によって製品価格が大きく変わってしまったりしてしまうということがあります。
スーパーガルテクトは国内の工場で生産されており、製品供給が非常に安定しているというメリットもあります。
次に「横暖ルーフ」について紹介していきたいと思います。
こちらではいくつかのシリーズ製品もあるのでそれぞれの特徴も押さえていきます。
横暖ルーフはニチハ株式会社の金属屋根材部門である「センタールーフ」が販売している「断熱材付き金属屋根材」の製品を指します。
センタールーフは横暖ルーフの製品しか販売していないため、横暖ルーフ専門で行っている部門だと考えて良いでしょう。
横暖ルーフはとにかく断熱性、耐候性に優れた屋根材で耐用年数も40年前後と非常に長いものとなっています。
長期保証が付いているというのも安心できる材料と言えます。
横暖ルーフはガルバリウム鋼板でできている金属屋根です。
近年「軽い」「耐久性が高い」といった特徴で人気となっている金属屋根ですが、金属という素材のために「断熱性が低い」「熱伝導率が高い」「雨音が響いてうるさい」といった欠点もあります。
この横暖ルーフはその欠点を補うように「断熱材」がついているのです。
具体的にはガルバリウム鋼板の屋根材の裏面に断熱材が貼ってあり、一体化しているものとなっています。
断熱材がついていることで金属屋根の弱点であった断熱性の低さをカバーしていると言えます。
また、雨音についても少し緩和できるようになっています。
横暖ルーフのシリーズは2024年2月現在6種類が販売されています。
ここではそれらを簡単に紹介していきます。
・横暖ルーフS
こちらは横暖ルーフの一般的なモデルです。
遮断鋼板と断熱材を一体化させた屋根材となっており、厚さは最大で12mmとなっています。
・横暖ルーフ プレミアムS
こちらの横暖ルーフ プレミアムSはフッ素樹脂遮熱鋼板でできている屋根材です。
フッ素樹脂遮熱鋼板はフッ素樹脂塗料に遮熱顔料を加えて、鋼板に焼き付けてできた屋根材です。
塗料に遮熱顔料を加えることによって断熱性と耐候性を高める効果が期待できます。
塗膜、変色、褐色については20年保証が付いています。
・横暖ルーフα S
こちらは横暖ルーフシリーズのミドルモデルとなっています。
遮熱機能付きシリコン塗装高耐食GLめっき鋼板(溶融55%アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)が採用されており、厚みは最大で17mmという重厚感のあるものとなっています。
屋根材のジョイント部分の気密性を高めた構造となっており、遮熱・断熱効果が高いものとなっています。
・横暖ルーフα プレミアムS
こちらは横暖ルーフシリーズのハイエンドモデルです。
フッ素樹脂遮熱鋼板(溶融2%マグネシウム・55%アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)でできており、最大17mmの厚みとなっています。
塗膜、変色、褐色の20年保証が付いており、シリーズの中でも最高性能の屋根材となっています。
・横暖ルーフα S 窯変
こちらは2023年に追加された新製品です。
塗装高耐食GLめっき鋼板(溶融55%アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)でできた鋼板は鮮やかなグラデーションとなっているヨーロッパスタイルのものとなっており、これまでになかったデザインの金属屋根となっています。
・横暖ルーフS 1820
他の横暖ルーフシリーズの製品は長さが10尺(約3030mm)ですが、こちらの製品は長さが6尺(約1820mm)と短めのサイズとなっています。
塗装高耐食GLめっき鋼板(溶融2%マグネシウム・55%アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)でできており、短い屋根材ということで扱いやすさが向上しています。
長く人気となっている横暖ルーフシリーズは数多くのメリットがあります。
ここではそんな横暖ルーフの特徴やメリットについて紹介していきます。
横暖ルーフの大きな特徴となっているのが「軽量で耐久性が高い」という点です。
素材に耐久性の高いガルバリウム鋼板を使っているということもあって耐久性が高く、長い耐用年数が設定されています。
短い期間で交換しなければならないということがないため、コストパフォーマンスにも優れています。
また、それだけの耐久性があるにも関わらず、軽量であるというのも大きなメリットです。
その重さは瓦屋根の1/10ほど、スレート屋根の1/4ほどしかないため、近年盛んにおこなわれている耐震工事でも多く利用されるようになっています。
屋根は軽いほど地震の際の揺れ幅が小さくなるため、耐震性が向上するとされています。
そういった意味でも軽量であるということは耐震性が優れていると言えるでしょう。
金属屋根の弱点である断熱性という点についても横暖ルーフは優秀です。
横暖ルーフは三層構造となっており、「遮熱機能付き塗装」「ガルバリウム鋼板」「硬質ウレタンフォームの断熱材」でできています。
この三層構造によって遮熱性能が大きく向上しており、一般的な金属屋根とはまったく違った断熱効果が期待できるものとなっているのです。
断熱性が高いことによって、室内温度が上がりにくく、エアコンも効きやすくなります。
横暖ルーフは防水性が高いというのも特徴です。
屋根材の形状も防水性を高めるオリジナルの形状をしており、流れ方向(上から下、棟から軒先方向)は折り返し4重防水構造、横つなぎ(横方のジョイント)は防水リブを4重に配置されています。
この構造によって「降水量 230mm/h」「風速 30m/s」にも耐えうるようになっています。
降水量80mm/h以上が猛烈な雨と言われていますので、かなりの豪雨にも耐えうる屋根材だと言えます。
風速30m/sについても台風直撃レベルで屋根瓦が剥がれるほどの風速ですので、これも高い性能だと言えます。
このように横暖ルーフは災害級の雨風にも耐えうる屋根材なのです。
「スーパーガルテクト」「横暖ルーフ」はどちらも信頼の国内大手メーカーが販売している主力商品です。
それぞれに特徴やメリットがあるため、建物に合わせて選んでいくと良いでしょう。
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