台風や大雨の時にだけ雨漏りするのはなぜ？

2022年12月28日

普通に雨が降っているだけでは雨漏りしないのに、台風や大雨の時にだけ雨漏りすることがあります。
なぜ台風や大雨の時にだけ雨漏りするのかというと、ポイントは風と雨量です。
詳しく解説していきます。

【原因】なぜ台風や大雨で雨漏りするの

原因は、大きくわけて4つあります。

・強風による吹上げと引っ張り

・オーバーフロー

・屋根の劣化

・外壁・コーキングの劣化

1.強風による吹上げと引っ張り

台風によって起こる強風や暴風は、思った以上の変化を起こします。
台風のような暴風雨になると、雨水が風に乗って水平または下から上へ登ったりすることもあります。それによって通常は雨水が入らないはずの軒裏から入ったり、外部に面する換気口などの開口部分からも浸水します。

また、屋根上で強風が吹くと上へ引っ張られる力が働き、屋根材や施工方法によっては屋根面が浮き上がり、波打つこともあります。そこへ、強風で逆流を起こした雨水が屋根材同士の隙間に入り込んだりします。屋根は原則として上から下へ流れる雨水を想定して設計され施工されていますので、強風による吹上げと引っ張りには対応できません。

2.オーバーフロー

オーバーフローとは、谷樋や軒樋が雨水で溢れたり、屋根面が水たまりのようになったりする現象です。大雨や豪雨の際に発生する可能性があります。
特に多く発生するのが谷部です。谷ができている屋根形状の場合はまず漏水部分として特定しやすい箇所になります。谷部は屋根の雨水が集まってきますので、大雨の時に真っ先にオーバーフローしやすい部分です。屋根材や防水シートの下へ雨水が流れ込みます。

軒樋が溢れると強風も含めて軒先や軒裏、さらに外壁へ雨水が当たり、雨漏りの原因になります。
屋根勾配が緩いケースでは大量の雨水を排水しきれず屋根面に水がたまったような状態になり、屋根材の隙間などから浸水します。

3.屋根の劣化

台風や大雨の時になると雨漏りするのは、気が付いていないだけで実は普通の雨でも雨漏りしていることがあります。少量の浸水のため、屋根裏では雨漏りはしているが屋内には達していないということが多いです。それが大雨になると浸水量も増え、天井や壁が濡れるなどの目立った雨漏りになります。
台風や大雨の時にだけ雨漏りする場合でも、実は屋根の劣化や不具合が発生しています。

4.外壁・コーキングの劣化

１の『強風による吹上げと引っ張り』で述べたように、台風や強風で水平に雨が当たったり、吹き上げられたりすると、外壁も影響を受けます。モルタル外壁にクラックが入っていたり、サイディング外壁のジョイント部分のコーキングが劣化していたりすると、そこから雨漏りします。特にコーキングは数年で劣化しますので、ふだんの雨でも少しずつ、確実に壁内へ水分が浸水しています。

【対策】台風や大雨のときの雨漏りを軽減するには

台風や大雨のときにだけ雨漏りする原因を解説しました。
基本的には、想定以上の暴風や豪雨に対しては避けられない面もあり、原因が不具合でなければ、かえって触らないほうがいいこともあります。むしろ、屋根の不具合の予兆・兆しとして捉えて対応するのが賢明です。

屋根の点検

屋根の劣化や外壁のコーキングの劣化などに対しては、定期点検をするなどふだんからの目配りが欠かせません。年数的に耐用時期を迎えていて、もし必要ならメンテナンス工事を行いましょう。壁のひび割れやコーキングなら、場所や量によっては自分で塞ぐこともできます。

しかし、雨樋がオーバーフローするからといって、極端な雨量に合わせて雨樋サイズを交換する必要はないでしょう。台風通過後に破損などがないか点検しましょう。

谷部の溝は特に劣化が激しいので、定期的な交換が必要です。
台風や大雨の時にだけ雨漏りが発生するとしても、屋根裏や下地、壁内といった見えない箇所での雨漏りは進行しており、今後悪化していくと考えられます。普段は雨漏りしないからといって点検もせずにそのまま放置しておけば、そのうち普通の雨でも雨漏りの可能性があります。

仮の養生をする

台風や暴風の引っ張り、吹上げに対しては、軒裏や開口部などに一時的な応急処置として対処できることもあります。たとえば台風が来る前に開口部や隙間に防水テープを貼るなどしてもいいでしょう。
外壁については、ふだんからクラックやコーキングの劣化を点検し、自分でできる範囲ではコーキングを打つなどできることはありますが、適切なタイミングで業者によるメンテナンスを依頼するようにしましょう。