塩害によって屋根が受ける影響について

2023年7月31日

海沿いの建物が塩害に見舞われることをご存知でしょうか？これは海辺の地域に特有の問題で、特に金属質の屋根材料にとっては、深刻なダメージを引き起こす可能性があります。

塩害とは何か

塩害は、主に海辺のエリアで確認される状況で、海水に含まれる塩分が海風や潮風によって陸地に運ばれることで生じます。
塩分は金属の酸化を加速する性質を持つため、金属に塩分が付着すると錆の原因となります。
塩分が流れ落ちるなどして取り除かれると、被害は比較的軽微なものとなることが多いですが、付着したままであると、それが重大な被害をもたらします。

錆が形成されると、金属はその強度を失い、短期間で穴が開くなどの損傷が発生します。

塩害が及ぶ範囲

塩害が及ぶ範囲は、海風が運ぶ塩分が到達できる地域全体となります。塩分濃度が高いほど、被害も深刻になります。
海岸沿いの地域は特に塩害に影響されやすく、海岸から内陸に進んでも塩害の影響を受ける可能性があります。一般的には海岸から約2キロが影響範囲とされていますが、海風の強さや地形によってこの距離は変わり得ます。

2キロを超えた地点でも塩害による被害を見ることがありますし、2キロ以内であっても被害を受けない場合もあります。
たとえば、海岸と建物の間に山が存在する場合、その山の麓にある建物は塩害の影響をほとんど受けないこともあります。

塩害の影響を受ける対象

塩分は金属を錆びさせる特性を持っているため、あらゆる金属部分が塩害の影響を受け得ます。住宅では、外壁やバルコニーに使われている金属部分が主な対象となります。
また、建造物がコンクリート製であっても、内部の鉄筋が錆びる可能性があります。

例として、フロリダで見られた突然のマンション倒壊の事例があります。
40年以上経過した建物でしたが、初期の構造や設計ミスの可能性は低く、塩害が一因と考えられています。この事例は、潮風による塩害が深刻な影響を及ぼす様子を示しています。

特に、屋根における塩害の影響は金属系の屋根材に顕著です。ガルバリウム鋼板、銅板、トタンなどの金属系の屋根材は、全て塩害の影響を受けやすいです。

塩害によって屋根が受ける影響は

海から吹き寄せる潮風の影響で、ガルバリウム鋼板や銅板、トタンといった金属製の屋根は塩害を受けやすく、塩害の被害は度々見られます。

塩分が屋根表面や軒先に付着すると、それが錆の発生源となり、時間をかけて金属を腐食します。結果として、屋根に穴が開いたり、ビスなどの金具が錆びて損傷するといった被害が生じます。

これらの状態は、自ずと雨漏りの大きな要因となります。

特に、軒先での被害が多く見受けられます。軒先の水切り部や取り付け部分が強く錆び、色が褪せて穴が開き、雨水が侵入できる状態になります。これは屋根表面に付着した塩分が雨により軒先へと流れ落ちることで起こります。

大きな勾配の屋根は、屋根表面での被害が少なくなる傾向があります。ただし、縦張りよりも横張りの屋根では被害が増えることが多いです。
横張りの屋根には通常、5寸から8寸の足場で横に走る溝があり、塩分や埃が溜まりやすく、錆びやすい環境となります。

さらに、雨水が集中して流れ込む屋根の谷部分も注意が必要です。谷部分の溝は塩分が集まりやすく、排水口は錆びやすい状況になります。

塩害から屋根を守る対策は

金属製の屋根に対する完全な塩害防止は難しいですが、定期的に屋根を水洗いし塩分を洗い流すことで、被害の進行を遅らせることができます。
さらに、葺き替えや塗装を行う際には、錆びにくい塗料を使用することで、一定の対策が可能となります。また、瓦などの自然素材を使用すれば、一部の金具を除き、塩害の影響を大幅に減らすことができます。

金属製の屋根に対する別の可能な対策としては、軒先部分をチタン製にするという方法があります。チタンは塩害に対して強いため、理想的には全体をチタンで作るのが最善ですが、そのコストはとても高くなります。それゆえ、特に被害が大きい軒先部分だけをチタン製にすることで、費用を抑えつつ効果的に被害を防ぐことができます。

まとめ

塩害による影響は思いの外深刻で、海岸沿いだけでなくその周辺地域も同様に被害を受ける可能性があります。海岸地帯で住居を建設したり、購入したり、あるいは屋根を新築したりする際には注意をしましょう。
大和瓦工業では屋根修理、雨漏り修理を行っております。
トラブルにお悩みの方は先ずは一度ご相談ください。