2024年11月22日
モニエル瓦は、オーストラリアと日本の企業が力を合わせて生み出した屋根材です。正式な名称は「乾式コンクリート瓦」ですが、1970年代から80年代にかけて日本で人気となり、「モニエル」という名前が広く使われるようになりました。
同じような乾式コンクリート瓦には「スカンジア瓦」や「クボタ瓦」などもありましたが、残念ながら今ではどれも作られていません。そのため、新しい家を建てる際にこれらの瓦を使うことはできず、手に入れるのも大変難しくなっています。
モニエル瓦を使った家の多くは、今では30年から40年ほど経っており、屋根の手入れが必要な時期を迎えています。きちんと対処しないと、屋根が傷んで雨漏りなどの深刻な問題が起きる可能性があります。そのため、適切な手入れの方法や、かかる費用についてあらかじめ知っておくことが大切です。
このページでは、モニエル瓦の特徴や、長く使い続けるためのお手入れの方法について、詳しくご説明いたします。
モニエル瓦は、ヨーロッパで生まれた「乾式コンクリート瓦」の一種です。主な材料はセメントと川砂で、水を吸いやすい性質があるため、表面に特別な塗りが施されています。
作り方を見ると、瓦の形を整えた後、1ミリメートル以上の厚さで色つきのセメント系塗料を塗り、その上からアクリル樹脂の透明な塗料をかけます。この二層構造が、モニエル瓦ならではの見た目と長持ちする性質を生み出しています。
ただし、この特別な表面処理も、日光や雨風にさらされると少しずつ傷んでいきます。そのため、定期的な手入れが大切です。塗り直す際には、専門的な知識と技術が必要となります。
普通のセメント瓦やスレート屋根と同じ方法で塗ると、塗料がはがれたり膨らんだりする問題が起きる可能性があります。
そのため、屋根材をきちんと見分けて、適切な方法で施工することが非常に重要です。
モニエル瓦と普通のセメント瓦は見た目がとてもよく似ているため、経験豊富な専門家でも見分けるのに苦労することがあります。両者を区別するには、主に二つの方法があります。
✅①瓦の側面を確認する
モニエル瓦の側面にはでこぼこがありますが、セメント瓦はなめらかです。
✅②瓦の裏側を確認する
モニエル瓦の裏側には「M」の字のマークが刻まれています。このマークがあるかどうかで簡単に見分けられます。
モニエル瓦には特別な加工が施されているため、耐久性に優れ、雨水を効果的に防ぎ、火災にも強い性質を持っております。さらに、断熱性能や遮音性能も高く、夏の暑さや雨音、外部の騒音を和らげる効果も期待できます。
また、和風や洋風など、多様な形状や色彩が取り揃えられております。そのため、お住まいの雰囲気に合わせてお選びいただけることも、大変魅力的な点です。
しかしながら、モニエル瓦にも注意点があります。
お手入れの際には、特別な配慮が必要となります。例えば、塗り直しの作業では、表面の特殊な層を慎重に取り除いてから塗装を行う必要があります。この手順を怠ると、新しい塗料がすぐに剥がれてしまう可能性があるのです。
また、他の瓦と比較すると軽量ではありますが、金属製の屋根材と比べますとかなりの重さがあります。そのため、地震に対する耐性が比較的低いという課題があります。
さらに、現在ではこの屋根材の製造が終了しているため、交換が必要になった際に新しい瓦を入手することが困難であるという問題も存在します。
モニエル瓦は、通常20年から30年ほどお使いいただけます。
ただし、お住まいの環境によっては、この期間が短くなることもございます。
外からの影響で傷みやすいため、10年から15年ほどごとに、専門家の方に見ていただき、必要な手入れをすることをおすすめいたします。
ただし、設置してから10年たっても、表面の雨を防ぐ機能がしっかりと保たれている場合は、すぐに塗り直すなどの対応をする必要はございません。お住まいの屋根の状態をよく見極めて、適切に対応することが大切です。
あらゆる屋根材と同様に、モニエル瓦も時間の経過とともに様々な影響を受けます。以下では、モニエル瓦に特有の経年変化とその対策について解説します。
長年の気温変化や湿度の影響により、モニエル瓦の表面にクラック(ひび割れ)が生じることがあります。これは瓦の防水性能を低下させ、放置すると深刻な問題につながる可能性があります。
軽微なクラックは特殊な補修材で対応可能ですが、大きな損傷の場合は瓦の交換が必要となります。
地震や強風により、瓦がずれたり、接合部の漆喰が劣化することがあります。これらの問題は早期発見と対処が重要で、放置すると雨漏りのリスクが高まります。
瓦の再固定や漆喰の補修が主な対処法となります。
紫外線や気象条件の影響で、モニエル瓦の表面コーティングが徐々に劣化します。
これにより瓦本体の保護機能が低下し、さらなる損傷を招く恐れがあります。専門的な再塗装が必要となりますが、その際には下地処理が欠かせません。
表面に白い粉が付着する現象をといいます。これは樹脂成分の分解によって起こり、瓦の保護機能の低下を示します。軽度の場合は経過観察で良いですが、著しい白華現象が見られる場合は再塗装を検討する必要があります。
モニエル瓦の表面は、約10年経過すると劣化の兆候が見られます。そのため、10~15年以内に塗装を行うことが推奨されます。この屋根材は一般的なセメント瓦とは異なる塗装手法が必要なため、注意が必要です。
塗装作業の最初のステップは、高圧洗浄や研磨によるスラリー層の完全除去です。この工程を怠ると、新しい塗料の密着力が低下し、短期間で剥離する可能性があります。
適切な塗装には、モニエル瓦専用または適合性の高い下塗り材と上塗り材を使用することが重要です。一般的な屋根塗装と同様、「洗浄」「下地調整」「下塗り」「上塗り(2回)」の手順で行います。
元々の着色層は除去されますが、新しい塗料に含まれる顔料により、望む色彩を実現できます。
塗装費用は使用する塗料の品質により変動します。シリコン系塗料の場合、1平方メートルあたり2,500~3,000円程度、より耐久性の高いフッ素系塗料では3,800~4,800円程度が一般的な価格帯です。
また、瓦の接合部に使用される漆喰の修復が必要な場合、追加で1平方メートルあたり2,200~7,000円の費用がかかることがあります。
モニエル瓦の大規模な損傷や下地の著しい劣化が見られる場合、屋根全体の改修が必要となります。この工程では、既存の屋根材を完全に撤去し、構造部分の修繕を行った後、新しい屋根材を設置します。
全面改修の利点は、屋根全体を刷新できることに加え、下地の修復も可能な点です。これにより、雨漏りなどの根本的な問題に対処することができます。
さらに、重量のある瓦屋根から軽量な金属製屋根材やアスファルトシングルへの変更により、建物の耐震性能を向上させることも可能です。
モニエル瓦の生産終了により、部分的な交換が困難な場合も、全面改修が唯一の選択肢となることがあります。
改修費用は使用する屋根材によって異なりますが、一般的に1平方メートルあたり1万円から2万2千円程度が目安となります。
モニエル瓦は生産が終了しているものの、その優れた特性から多くの建物で使用されています。高い耐久性、優れた防水・耐火性能、そして独特な美観を持つこの屋根材は、長期間の使用に耐えうる素材です。しかし、その特性を維持するには、計画的で適切なメンテナンスが不可欠です。
経年劣化により、塗装だけでは対応できない損傷が生じる場合があります。そのような状況では、屋根全体の葺き替えを考慮する必要があります。ただし、葺き替えは大規模な工事となるため、将来の住宅計画や家族の状況などを十分に考慮した上で決断することが重要です。
屋根の手入れを適切に行うには、専門家の力を借りることが大切です。詳しい調査と的確なアドバイスにより、屋根を長く美しく保つことができます。経験豊富な業者は、お客様のご事情やご希望をよく理解した上で、最も適した修理方法をご提案いたします。何かご不明な点や心配なことがございましたら、ぜひ専門家にご相談ください。
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