瓦屋根のズレを防ぐ瓦止め工事・ラバーロック工法とは?

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屋根の豆知識

瓦屋根のズレを防ぐ瓦止め工事・ラバーロック工法とは?

2025年4月21日

瓦屋根は日本の伝統的な住宅スタイルに多く採用され、美しい外観と高い耐久性が特徴です。しかし、瓦は一枚一枚が独立して重なっているため、台風や地震、経年劣化の影響でズレが生じるリスクがあります。

瓦がズレた状態を放置していると、雨漏りや瓦の落下事故など、住まいの安全性を大きく損なう恐れがあります。こうしたトラブルを未然に防ぐために有効なのが、「瓦止め工事」や「ラバーロック工法」です。

この記事では、瓦のズレの原因から、ズレを防ぐための対策工法までを分かりやすく解説していきます。大阪府守口市で屋根修理・雨漏り修理をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

なぜ瓦屋根はズレるのか?

瓦屋根は風通しが良く、断熱性や耐久性に優れていますが、固定が甘いとズレやすい構造でもあります。主な原因は以下のとおりです。

経年劣化

瓦自体は50年以上の寿命を持つこともありますが、下地である防水シートや野地板は劣化が早く、ズレを引き起こす要因になります。また、長年の風雨にさらされることで、瓦の位置も少しずつ動くことがあります。

台風・突風

風圧が瓦に直接かかると、ズレたり飛ばされたりすることがあります。特に屋根の端部分(軒先や棟部)は風の影響を強く受けやすい場所です。

地震による揺れ

地震大国である日本では、瓦屋根のズレが地震によって起きることも少なくありません。古い瓦屋根では固定が甘く、揺れで一気に瓦が外れるケースもあります。

施工不良・固定不足

建築時に十分な瓦の固定が行われていなかった場合や、下地材の施工に問題があった場合には、瓦のズレが早期に発生することがあります。

動物や落ち葉の影響

瓦の隙間に鳥や小動物が入り込んだり、落ち葉が詰まって水はけが悪くなったりすることで、瓦が浮いてズレる原因になります。

瓦のズレがもたらすリスクとは

瓦屋根は一枚一枚が独立して重なっている構造のため、ズレが生じるとその影響は見た目以上に深刻です。ズレを放置すると住まいの寿命や安全性に関わる重大なリスクを招くことになります。以下では、瓦のズレによって引き起こされる具体的な問題とその影響について詳しく解説します。

雨漏りの発生と住宅内部へのダメージ

瓦が本来の位置からズレると、その下にある防水シート(ルーフィング)が直接雨風にさらされることになります。防水シートはあくまで「補助的な防水層」であり、瓦によって守られて初めて機能を発揮します。そのため、瓦のズレによってシートが劣化したり、破れたりすると、雨水は簡単に屋根の内部へ侵入してしまいます。

一度でも水が内部に侵入すると、天井や壁にシミができるだけでなく、見えない構造部分—たとえば柱や梁、断熱材—にまで水分が浸透し、腐食・カビ・断熱性能の低下など、さまざまな二次被害が起こります。特に木造住宅では、木部の腐食によって建物全体の耐久性が著しく低下し、将来的には大規模なリフォームや建て替えが必要になるケースも少なくありません。

また、室内に湿気がたまりやすくなり、カビやダニの発生源となるため、家族の健康被害(アレルギー、呼吸器系疾患)にもつながる恐れがあります。

瓦の落下による事故・損害

ズレた瓦が強風や台風の影響で落下すると、通行人や隣家の車、物件などに直撃し、大きな事故や損害賠償問題に発展することがあります。実際に、都市部では屋根から瓦が落下して歩行者にケガを負わせてしまったという事例も報告されており、特に人通りの多い住宅地や幹線道路沿いの住宅では注意が必要です。

万が一、他人にケガを負わせたり、物損事故を起こした場合、住宅所有者は損害賠償責任を問われる可能性が高く、数十万円〜数百万円の補償費用が発生することもあります。こうしたリスクは、自宅だけでなく周囲の人々や財産にまで影響を及ぼすため、瓦のズレは“放置してはいけないトラブル”の一つだと言えるでしょう。

修繕コストの増加と予算の圧迫

瓦のズレが小さい段階であれば、比較的安価な部分補修やラバーロック工法などで対処が可能です。しかし、長期間放置してしまうと、ズレの範囲が広がり、下地の劣化や雨漏りの進行によって葺き替えが必要になることもあります。

葺き替えとなると、屋根全体を一度解体し、下地から新しく施工し直すため、費用は数十万円〜数百万円にまで膨らむことがあります。これに加えて足場代や廃材処分費用もかかるため、予算的な負担は非常に大きくなります。

また、住宅ローンや他の修繕と重なると、家計への圧迫も無視できません。逆に、早期発見・早期対処によって、数万円〜十数万円程度で施工できるケースも多く、定期点検と軽微な修繕の重要性が改めて分かります。

耐震性の低下と建物の安全性への影響

瓦屋根は美観・断熱性・防音性に優れる一方で、他の屋根材と比べて重いという特徴があります。ズレや浮きがある瓦が屋根に不均等に乗っている状態は、建物の重心バランスを崩し、構造的な耐震性を低下させてしまう原因になります。

特に築年数の古い住宅では、もともと耐震基準が現代ほど厳しくないため、ズレた瓦が倒壊リスクをさらに高めてしまう可能性も否定できません。実際、阪神淡路大震災や東日本大震災の際には、瓦屋根のズレや落下が倒壊の一因になったという報告もあります。

このように、見た目には「ちょっとズレてるだけ」と思える状態でも、建物全体の耐震性や安全性に大きな影響を与えるため、軽視せず、専門業者による点検と必要な補修を早めに行うことが推奨されます。

瓦止め工事とは?

瓦止め工事とは、瓦のズレや飛散を防ぐために、瓦を屋根にしっかりと固定する工事のことを指します。従来の工法では、瓦を釘やステンレス線、銅線などで下地に固定します。

主な工法

  • 釘留め工法:下地に直接釘を打ち込んで瓦を固定。特に平板瓦に多い。
  • 緊結線工法:瓦を針金で結び、屋根にしっかり留める伝統的な方法。
  • 接着剤併用工法:釘や線で固定しつつ、シーリング材を使って接着する。

地域による違い

大阪府をはじめとする台風が多い地域では、より強固な固定方法が推奨される傾向があります。建築基準法の改正により、新築時の瓦止めは義務化されている地域もあります。

定期メンテナンスの重要性

瓦止め工事は、築年数が経った住宅にこそ有効です。特に1980年代以前に建てられた住宅では、固定力が不十分なケースが多く、点検・施工が推奨されます。

ラバーロック工法とは?

ラバーロック工法は、変成シリコン系などの柔軟性のある接着剤を使用して、瓦同士を固定する新しい工法です。瓦に負担をかけず、雨仕舞い(雨水の流れ)を邪魔しない設計が可能です。

特徴と仕組み

  • 瓦の接合部に専用接着剤を充填し、瓦が動かないよう固定
  • 屋根全体またはズレやすい棟部・軒先のみなど、部分施工も可能
  • 施工スピードが早く、1日〜2日で完了するケースも

使用する接着剤

  • 耐候性に優れた変成シリコン系
  • 柔軟性があるため、瓦の微細な動きにも追従可能
  • 紫外線・温度変化にも強く、長期的に安定した固定が可能

ラバーロック工法のメリット・デメリット

メリット

  • 高い耐風性:強風・台風時にも瓦が飛ばされにくくなる
  • 施工が早く手軽:足場不要なケースもあり、費用も抑えられる
  • 古い屋根にも対応可能:部分的な補強に最適
  • 見た目に影響がない:仕上がりは元の屋根とほぼ変わらず、美観を損なわない

デメリット・注意点

  • 接着剤の経年劣化:10〜15年で劣化し、再施工が必要になることがある
  • 通気性の妨げ:施工範囲が広すぎると、屋根内部の湿気がこもりやすくなる
  • 誤施工のリスク:正しい知識・経験がない業者による施工は逆効果になる場合も

施工の流れと費用相場

施工の流れ

  1. 現地調査・屋根点検(無料見積もり)
  2. ズレ・劣化の確認
  3. 必要な施工範囲の決定
  4. ラバーロック工法による接着・固定
  5. 最終チェックと仕上げ

費用相場

施工範囲 費用
部分施工(棟部・軒先など) 5万円〜10万円程度
全面施工(30坪の住宅全体) 10万円〜20万円程度

※足場の有無や勾配によって変動あり

火災保険が適用できるケースや、自治体の補助金制度が活用できる場合もあるため、事前に業者へ相談するのがベストです

どんな場合にラバーロック工法を検討すべきか

ラバーロック工法は、既存の瓦を取り外さずに固定力を高める補修工法です。そのため「まだ屋根を全面葺き替えるほどではないけれど、ズレや浮きが気になる」「将来的なトラブルを予防したい」といった方にとっては、非常に効果的な選択肢となります。

以下に、ラバーロック工法の施工を特に検討すべきケースを詳しくご紹介します。

屋根の瓦がズレている、浮いている

最も典型的なラバーロック工法の適用ケースです。風の強い日や地震の後に屋根を見上げて「なんとなく瓦がズレているように見える」と思ったことはありませんか?

瓦が本来の位置からわずかでもズレたり、浮いていたりすると、雨水が侵入しやすくなり、雨漏りや腐食の原因になります。ラバーロック工法では、ズレた瓦を元の位置に戻したうえで、専用の接着剤で固定するため、再び動くことを防止できます。

放置すればするほどズレが広がるため、早めの対処が肝心です。

瓦の割れが多く、補修を兼ねて固定したい

瓦が割れる原因はさまざまですが、代表的なものとしては、経年劣化・飛来物の衝突・強風などが挙げられます。小さな割れや欠けは一見すると問題なさそうに見えても、実際にはそこから雨水が入り込む「雨漏りの起点」になることがあります。

ラバーロック工法は、接着剤を使って割れた瓦を仮固定・補修しつつ、周囲の瓦もしっかりと固定できるため、広範囲にわたる瓦のダメージに対応可能です。全面交換が必要なほどでない場合には、コストを抑えつつ現状の屋根の機能を回復させられます。

台風・地震後の点検で異常が見つかった

自然災害の後に行う屋根点検で、瓦のズレ・浮き・割れなどの軽微な被害が確認された場合、今後の強風や余震への備えとして、ラバーロック工法による固定をおすすめします。

特に台風が多い地域や、今後大きな地震が予想されている地域では、屋根からの被害を最小限に抑えるための「事前の備え」として非常に有効です。また、災害後に火災保険の対象になるケースもあるため、保険を活用できるかどうかを専門業者に相談するのも良いでしょう。

予算を抑えつつ、屋根の強化をしたい

葺き替え工事やカバー工法などに比べ、ラバーロック工法は費用を大幅に抑えることができる補修方法です。そのため「できるだけ予算内で屋根の不安を解消したい」という方にとっても魅力的な選択肢となります。

施工の内容にもよりますが、一般的には数万円〜十数万円程度の費用で施工可能です。短期間で工事が完了するケースが多く、住みながら施工できるため、日常生活への影響も最小限です。

築20年以上で一度も屋根のメンテナンスをしていない

築年数が20年以上経過している住宅では、屋根材の劣化が進んでいる可能性が高く、瓦の浮き・ズレ・小さな割れがすでに発生しているケースも少なくありません。しかし、こうした劣化は下からでは確認しづらいため、気づかないうちにトラブルが進行していることも。

もしこれまでに一度も屋根のメンテナンスをしていない場合は、点検と合わせてラバーロック工法を検討する価値があります。予防的に瓦を固定しておくことで、今後の雨漏りや落下リスクを大幅に軽減できるため、将来的な修繕費用の削減にもつながります。

まとめ

瓦屋根は美しさと耐久性を兼ね備えた優れた屋根材ですが、ズレやすいという弱点もあります。ズレが発生すると、雨漏りや落下事故のリスクが高まるため、早めの対策が重要です。

瓦止め工事やラバーロック工法は、こうしたリスクを未然に防ぐための有効な手段です。守口市で屋根修理や雨漏り対策をご検討中の方は、地域密着型の専門業者「大和瓦工業」までお気軽にご相談ください。

〈瓦の豆知識〉

▷瓦屋根から雨漏りする原因とは?予防方法も解説します

▷瓦から金属屋根への葺き替えなど、屋根軽量化のメリットとは?

▷瓦屋根の主な劣化症状とメンテナンス方法について解説

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