2024年7月22日
工場や倉庫をお持ちの方で、現在の屋根の状態を把握している方は多くないのではないでしょうか。屋根の形状には様々な種類がありますが、工場や倉庫など広い空間を持つ建物に多い折板屋根もその内の一つです。
傾斜のない折板屋根は普段目にすることが無いため、初期症状に気が付かないうちに劣化が進行していることもあります。屋根の種類が違えば劣化症状やメンテナンス方法も異なります。
この記事では折板屋根の固定方法や劣化症状、メンテナンス方法を詳しく解説します。工場や倉庫、折板屋根を持つ建物の管理者の方、折板屋根について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
折板屋根は、工場や倉庫、体育館、カーポートなどの鉄筋造りの屋根に多く採用されている屋根の工法の一つです。0.6~1.2mm厚の鋼板を折り曲げ、上底の短い連続した台形に成型することで高い強度を持たせています。他の屋根形状との大きな違いは、長さをきわめて長くすることができることで、広い空間を持つ大型建築物に適した屋根の工法と言えます。折板屋根に使用される鋼板は、亜鉛メッキ鋼板であるトタンが多く使用されていましたが、現在は錆びにくいガルバリウム鋼板が主流となっています。さらに錆びに強いステンレス鋼板が使用されるケースがまれにありますが、材料費は高額になります。
折板屋根は、屋根材である鋼板がきわめて軽量であるため耐震性が高い特徴がありますが、他の金属屋根と同じく遮熱性・遮音性が低い特徴もあります。金属鋼板屋根は熱を吸収しやすく厚みが薄いため、夏場は屋根下空間の温度が上がりやすくなり雨音も響きやすくなります。また、折板屋根の設置は、梁の上に設置したタイトフレームと呼ばれる金具の上に屋根鋼板を載せて固定します。屋根の下地である野地板が不要になり、その分工程も少なくなるため工事期間を短縮でき、かつ施工費用を抑えることにも繋がります。
折板屋根の固定方法や加工方法は次の通りです。
✅重ねタイプ
✅はぜ締めタイプ
✅嵌合タイプ
✅二重葺きタイプ
✅わん曲加工
折板屋根で最も多く採用されている固定方法が重ねタイプです。梁に設置された固定用の金具であるタイトフレームから突き出たボルトに2枚の屋根鋼板端部を重ねて取り付け、ナットで絞め込んで固定するタイプです。強風地帯やカーポート、駐輪場などに多く採用される重ねタイプは構造が単純なため強度があり、耐風性に優れた特徴があります。屋根鋼板の上に突き出るようにして露出したボルトナットは経年劣化で錆びることがあるため、定期的にボルトナット部のチェックが必要です。
タイトフレームに取り付けられた緊定金具に屋根鋼板2枚の端部を引っ掛け、はぜ部と呼ばれる折り曲げ部を締めつけることで固定するタイプです。重ねタイプのようにボルトナットが外に露出しないため錆びる心配が無く、ボルト穴から雨水が侵入することもありません。ボルトナットが不要なため施工コストが下がり経済的な工法で、上からの見た目が綺麗に仕上がる特徴がありますが、重ねタイプほどの耐風性はありません。
屋根鋼板2枚の端部をタイトフレームに設置された吊子と呼ばれる金具で止め、上からパチンとキャップをはめ込み固定するタイプです。はぜ締めタイプと同じくボルトが露出しないため綺麗な見た目に仕上がりますが、施工コストは上がります。
折板屋根を使用した住居など、快適な居住空間を目的としたのが二重葺きタイプです。屋根鋼板を2重にし、間にグラスウールなどの断熱材を挟むことで室内の温度を一定に保ち、雨音などの反響を抑えます。金属屋根のデメリットである断熱性と遮音性の低さを補う工法です。
わん曲加工は屋根鋼板の固定方法ではなく、屋根の形状を変える加工の1つです。軒先を曲げ加工することで積雪やつららの自然落下を促し、軒先や外壁を保護するとともに風雨の吹き込みを防止します。屋根全体を流れ方向に曲げてアーチ状にした建物もあり、体育館や豪雪地帯などに多く見られる屋根形状です。屋根に曲線が付くことで意匠性に優れた効果が得られます。
折板屋根に見られる劣化症状は次の通りです。
✅塗装の色褪せ・チョーキング
✅白錆び・赤錆び
✅穴
✅電蝕
劣化の初期症状に見られるのが塗装の色褪せやチョーキングです。チョーキングは、鋼板表面に手で触れると白いチョークの粉のようなものが付着する現象で、表面の保護塗膜が弱くなっている状態です。チョーキングを放置すると表面にぽつぽつとふくれが現れるようになり白錆びが発生します。また、屋根鋼板の表面が塗装により着色されていた場合は塗装の色褪せが起こります。
色褪せやチョーキングの次に発生するのが白錆びです。折板屋根の主流であるガルバリウム鋼板は、錆びにくい特徴がありますがまったく錆びないわけではありません。発生した白錆びを放置するといずれ赤錆びが発生します。赤錆びはガルバリウム鋼板の表面が強く傷ついた場合にも発生する錆びで、赤茶色に変色し表面がざらざらになります。重ねタイプの屋根固定方式では露出したボルトナットが錆びることがありますが、錆びが雨で流れて屋根鋼板にも赤茶色の色が付いているケースを多く見ます。
赤錆びを長期間放置すると錆びた箇所はがさがさになり最終的には穴が空きます。また、重ねタイプでは、露出したボルトナットの錆びが固定穴に広がることで穴が拡大し、屋根鋼板の固定ができなくなってしまうケースもあります。
電蝕は、接触した異なる素材の金属同士が水分に触れることで卑(イオン化傾向が高い)な金属が腐食する現象です。例えるなら金属鋼板と釘のような異なる素材で起こり、銅を含む防腐材を使用した木材とガルバリウム鋼板でも腐食が起こります。錆びに比較的強いガルバリウム鋼板やステンレス鋼板が短期間で錆びた場合は、電蝕を起こしている可能性が高いため注意が必要です。
折板屋根のメンテナンス方法は次の通りです。
①屋根塗装
②屋根カバー工法
③屋根葺き替え工事
塗装によるメンテナンスは屋根が錆びてしまう前に行うのがおすすめです。屋根塗装を行うタイミングとしては、色褪せやチョーキングが起こり、ぽつぽつとふくれが散見されるようになったタイミングが理想です。特に重ねタイプでは、ボルトナットが先に錆びてしまうことがあるため早めのタイミングで屋根塗装を行いましょう。屋根塗装は色褪せなど見た目の美観を整えるだけでなく、防水性や防汚性を付与させるコーティングのような役割も持ちます。赤錆びでぼろぼろになっているもしくは、穴が空いてしまっている場合には塗装ではなく屋根鋼板の補修や交換が必要になります。
屋根カバー工法は、従来の屋根を撤去せずに上から新しい屋根鋼板を被せるようにして設置する工法です。屋根から雨漏りが起きている場合などに有効なメンテナンスで、古い屋根と新しい屋根の間に断熱材を挟むことで断熱性・遮音性を高めることもできます。屋根が二重構造になるため重くなるといったデメリットがあります。
屋根葺き替え工事は、従来の屋根を全て撤去し新しい屋根鋼板を新たに設置する工事です。屋根のメンテナンスでは最も大掛かりな工事で、工期が長くなり既存の屋根の撤去費や処分費などが掛かるため工事費用も高額になります。また、既存の屋根を撤去している間は建物が吹き抜け状態になるため、工場や倉庫などでは作業を中断する必要があります。
この記事では折板屋根の固定方法や劣化症状、メンテナンス方法を詳しく解説しました。軽量で加工しやすく施工コストが高くない折板屋根は、メリットの多い高性能な屋根です。ですが、適切にメンテナンスを行わないと不具合を起こすことはどの種類の屋根も同じです。
かつてはトタンが主流だった折板屋根は、時代の流れと共に錆びにくい高性能なガルバリウム鋼板へと変わって行きました。折板屋根の固定方法も、ボルトナットが露出する重ねタイプから、より手間をかけずに施工できるものが登場しています。
大和瓦工業は瓦だけでなく、金属屋根のカバー工法や葺き替え工事も行っている屋根修理専門店です。守口市を中心に大阪府全域で数多くの施工を手掛けているため、どんな屋根修理でも対応可能です。
定期的な屋根塗装など、劣化が進行しないうちにメンテナンスをすることは、雨漏りや錆びの拡大などの高額になりやすい屋根修理を防ぐことに繋がります。大和瓦工業では、様々な屋根のメンテナンスに関する相談も承っております。屋根に関するお悩みはお気軽にお問い合わせください。
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