2025年8月21日
金属屋根と言えば、現在では、ガルバリウム鋼板の金属屋根が主流ですが、最近では、次世代の屋根素材として、エスジーエル鋼板の屋根材が注目されるようになっています。
エスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板の改良によって、2013年から生産されるようになった建材です。耐久性や耐用年数がガルバリウム鋼板の金属屋根よりも優れていることから、今後、金属屋根の主流になると期待されています。
エスジーエル鋼板とは、どのような屋根材なのか、ガルバリウムとの違いを解説します。
エスジーエル鋼板とは、アルファベットでは、「SGL鋼板」と書きます。
「GL鋼板」は、ガルバリウム鋼板を意味していますが、これに、Superior(上質な)・Special(特別な)・Super(超越した)という意味のある「S」を付けたのが、「SGL鋼板」です。
つまり、ガルバリウム鋼板よりも優れた金属素材という意味になります。
エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板をより発展させた金属素材です。
ガルバリウム鋼板は1982年に日鉄鋼板により初めて生産されました。
それまでの金属鋼板と言えば、亜鉛めっき鋼板(トタン)でしたが、耐用年数は10年から20年程度でした。ガルバリウム鋼板の登場により耐用年数は、20年から30年程度に向上しました。
その後、次世代型ガルバリウム鋼板の開発が始まり、2013年にエスジーエル鋼板の生産に成功したのです。
現在では、ガルバリウム鋼板に代わる新しい金属素材として注目されています。
エスジーエル鋼板とガルバリウム鋼板は何が違うのでしょうか?
組成面から見ていきましょう。
まず、エスジーエル鋼板とガルバリウム鋼板はどちらも鋼板にめっきを施したものです。
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板とも呼ばれ、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%のめっき組成になっています。
アルミニウムによる耐久性と耐熱性、さらに、亜鉛のガルバニックアクション(犠牲防食作用)を併せ持っていることから、亜鉛めっき鋼板よりも耐久性の面で優れています。
エスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板のめっき組成に、2%のマグネシウムを加えたものです。
2%のマグネシウムを加えることで、耐食性をさらに向上させています。
エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板よりもさらに耐食性に優れた金属素材です。
具体的にはどの程度優れているのでしょうか?
ガルバリウム鋼板でも、海沿いでは海からの潮風により錆びてしまうことがありました。
そのため、海岸線から5キロ以上離れていないと、ガルバリウム鋼板の耐食性は期待できませんでした。
一方、エスジーエル鋼板は、塩害にも比較的強いとされており、海岸線から500メートル離れていれば、耐食性を発揮することができます。
ガルバリウム鋼板を金属屋根として使う場合、錆びの進行によって穴が開かない穴あき保証期間は10年とされていました。
一方、エスジーエル鋼板はさらに穴あき保証期間が延びて25年とされています。
ガルバリウム鋼板は錆びにくい金属素材ですが、現場で屋根や外壁に施工する際に、切断しなければならないことがあります。切断した部分については、メッキがなく鉄部が露出してしまうため、錆びやすくなってしまいます。また、施工後に物をぶつけたりして傷つけた場合は、その部分が錆びやすくなります。
その点、エスジーエル鋼板は、マグネシウムが含まれている事により、切断面や傷の部分が亜鉛系保護皮膜によって保護する作用が働きやすくなっています。
その保護皮膜も緻密で安定化しやすいことから、切断面や傷ついた部分の耐食性も期待できます。
ガルバリウム鋼板は、亜鉛めっき鋼板(トタン)よりも耐用年数が高いことから、金属系サイディングや金属屋根の代表的な素材として使われていました。
エスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板よりもさらに耐用年数が高くなっています。
耐用年数を比較すると次のようなイメージになります。
亜鉛めっき鋼板(トタン) | 10年から20年 |
ガルバリウム鋼板 | 20年から30年 |
エスジーエル鋼板 | 30年以上 |
エスジーエル鋼板の屋根材を使うことのメリットを紹介します。
エスジーエル鋼板の屋根材は、ガルバリウム鋼板の屋根材と同様に金属屋根なので、軽量です。
金属の屋根というと鉄板を屋根に載せているのだから重いというイメージがあるかもしれませんが、エスジーエル鋼板は耐食性に優れているため、分厚い鉄板である必要はなく、0.35mm程度のもので足ります。
そのため、瓦屋根やスレート屋根よりも軽い屋根材になります。
屋根が軽量だと、耐震性の面で有利になります。
ガルバリウム鋼板も防錆性に優れていますが、エスジーエル鋼板はさらに防錆性に優れています。
金属屋根は、ガルバリウム鋼板でも、酸性雨や鳥の糞、塩害などの影響によって錆びることがあります。
エスジーエル鋼板の金属屋根ならば、そうした心配がより少なくなります。
金属屋根というと、鉄板と同じですから、夏場は暑くなるというイメージがあるかもしれません。
エスジーエル鋼板の屋根材は、エスジーエル鋼板の裏側に断熱材が打ち付けられているため、金属面が熱くなっても、その熱気は天井裏に伝わりにくくなっています。
また、金属面も遮熱塗料などを塗装していれば、夏の日差しにより熱くなることを防ぐことができます。
屋根カバー工法とは、既存の屋根材の上にルーフィング(防水シート)を張り巡らして、その上に新しい屋根材を打ち付ける形の屋根リフォーム工事方法です。
既存の屋根材の下地がしっかりとしている場合に採用できる工法で、屋根材の葺き替え工事よりも、工期が掛からずコストも抑えられます。
その際、新しい屋根材は、金属屋根に限定されますが、エスジーエル鋼板の屋根材も使うことができます。
エスジーエル鋼板の屋根材は、ガルバリウム鋼板の屋根材よりも価格は高めです。
ただ、大きな価格差が生じると言うほどではなく、㎡単位でいえば、100円から200円程度の価格差でしかありません。
ガルバリウム鋼板 | 6,500円/㎡ |
エスジーエル鋼板 | 6,700円/㎡ |
この価格差で、ガルバリウム鋼板よりも耐久性に優れているのですから、エスジーエル鋼板を採用した方がコストパフォーマンスが高いと言えます。
エスジーエル鋼板の屋根材を使うことのデメリットを紹介します。
エスジーエル鋼板は、2013年に生産が開始された金属素材です。
もう10年以上の実績があることになりますが、建物の建材の実績としては10年というのはまだまだ未実証と言ってよい段階です。
エスジーエル鋼板の耐用年数は、30年以上とされていますが、本当にそれだけの耐用年数があるのかどうかは、30年以上経たないと分かりません。
現時点では、十分な実績のあるガルバリウム鋼板の方が安心と言えるかもしれません。
屋根材が軽量であることは、建物の耐震性を向上させることにつながります。
しかし、屋根材が軽量だと、台風等の強風の直撃を受けた場合、屋根材が浮き上がってしまい、野地板への屋根材の保持力が不十分だと、そのまま、剥がれてしまうリスクがあります。
そのため、台風等の強風の後は、金属屋根がめくれていないか、ずれや反りがないかといった点検が必要です。
エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板よりも錆に強い屋根材です。
しかし、完全な防錆素材ではなく、ステンレスやチタンなどの強力な防錆性能のある屋根素材に比べると、防錆性能は劣ります。
防錆性能を特に重視したいならば、ステンレス屋根材などを検討するしかありません。
耐用年数が長く、耐久性の高い屋根材と言えば、現在でも、和瓦がダントツでトップです。
和瓦の耐用年数は、50年から100年程度と言われています。
エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板よりも耐用年数が延びましたが、和瓦に比べるとまだ短いと言わざるを得ません。
耐用年数、耐久性を重視したい場合は、和瓦を選択するべきです。
エスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板よりも優れた金属素材です。
屋根材として使う場合は、長い耐用年数が期待できます。ガルバリウム鋼板の屋根材との価格差も100円から200円程度なので、コストパフォーマンスの面でも優れています。
今後は、ガルバリウム鋼板に代わって、エスジーエル鋼板が主流になっていくでしょう。
大和瓦工業は、大阪府守口市を中心に、大阪府全域の屋根修理と雨漏り修理を承っています。
エスジーエル鋼板の金属屋根の施工や屋根リフォームの実績も豊富にありますので、金属屋根の工事を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
『大和瓦工業』は大阪府守口市を中心に、大阪府全域の屋根修理・雨漏り修理を承っております。
お問い合わせ・現地調査・お見積もりは無料、相見積もりも大歓迎です。
屋根修理・雨漏り修理をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問合せ下さい。
守口市を中心に、大阪府内全域対応可能!(大阪市、池田市、泉大津市、泉佐野市、和泉市、茨木市、大阪狭山市、貝塚市、柏原市、交野市、門真市、河南町、河内長野市、岸和田市、熊取町、堺市、四條畷市、島本町、吹田市、摂津市、泉南市、太子町、大東市、高石市、高槻市、田尻町、忠岡町、千早赤阪村、豊中市、豊能町、富田林市、寝屋川市、能勢町、羽曳野市、阪南市、東大阪市、枚方市、藤井寺市、松原市、岬町、箕面市、八尾市)